KVMにおける仮想マシンの作成手順
前回の仮想ネットワークの作成に続き、今回はKVMでの仮想マシンの作成手順を載せておきます。KVMを用いて構築する仮想環境のイメージ図は以下の図1になります。
図1のように、仮想マシンとしてubuntu1、ubuntu2、vyattaA、vyattaB、vyattaCの合計5台を作成します。また、各仮想ネットワークに属する仮想マシンのNIC (Network Interface Card, 図1中のeth0,eth1...eth7) は以下のようになります。
- 隔離ネットワーク:isolate_net1
- NATネットワーク:default vyattaBのeth7 (192.168.122.3/24)
ubuntu1のeth0 (192.168.100.10/24) vyattaAのeth2 (192.168.100.11/24)
<li><span style="color: #ff6600;">隔離ネットワーク:isolate_net2</span></li>
ubuntu2のeth1 (192.168.200.10/24) vyattaCのeth4 (192.168.200.12/24)
<li><span style="color: #ff6600;">隔離ネットワーク:WAN1</span></li>
vyattaAのeth3 (172.16.10.11/24) vyattaCのeth5 (172.16.10.12/24) vyattaBのeth6 (172.16.10.13/24)
仮想マシンの作成手順
仮想マシンの作成は非常に簡単です。ここでは、試しにubuntu12.04を仮想マシンとして作成してみます。具体的な手順は以下のようになっています。
(1) 仮想マシンのインストール方法の設定
まず、virt-manageを起動します。そして、以下のようにvirt-managerの画面左上の「新しい仮想マシンの作成」をクリックします。
上の画面で、まず適当に仮想マシンの名前を入力します。そして仮想マシンのインストール方法を指定します。私は、ubuntu12.04をisoイメージからインストールするので、「ローカルのインストールメディア(ISOイメージまたはCD-ROMドライブ)」にチェックして次に進みます。
(2) 仮想マシンのisoイメージの場所と仮想マシンの種類の選択
(1)から進むと以下の画面が出ます。ここでは、仮想マシンのisoイメージの場所を選択し、さらに仮想マシンの種類とバージョンを選択します。なお、下の図ではOSの種類を「Linux」、バージョンを「Ubuntu12.04LTS (Precise Pangolin)」にしていますが、vyattaの場合には、仮想マシンのOSの種類とバージョンについては両方とも「全般」にしました。また、CD-ROMやDVDからインストールする場合は、もちろん「CD-ROMまたはDVDを使用」にチェックして下さい。選択できたら次に進みます。
(3)仮想マシンに割り当てるメモリとCPU数の設定
以下のように、仮想マシンに割り当てるメモリとCPU数を設定します。それぞれの値はお使いのPCスペックに合わせて設定して下さい。私は、ubuntuの場合には下の図のようにCPU数は1、メモリを1024MBにしましたが、vyattaの場合にはCPU数を1、メモリは512MBに設定しました。
(4) 仮想マシンに割り当てるストレージの設定
ここでは、以下のように仮想マシンに割り当てるストレージの設定を行います。 「今すぐディスク全体を割り当てる」にチェックを入れると、指定したストレージのサイズ(以下の画面では8GB)すべてを仮想マシン用に割り当てます。
(5)設定の確認と仮想ネットワークの設定
最後に、今までに指定した仮想マシンの設定の確認と、仮想マシンが属する仮想ネットワークに関する設定です。まず、下の図の中で詳細オプションの仮想ネットワークを選択します。なお、今回構築する図1の仮想環境では、ubuntu1は1つのNIC、eth1を持ち、eth1は「isolate_net1」に属します。そこで、ここでは、以下の画面の中で仮想ネットワークを「isolate_net1」に選択します。また、作成する仮想マシンのOSが64bitの場合には、以下の画面のように「アーキテクチャ」を「x86_64」に選択します。32bitの場合には、「アーキテクチャ」を「i386」に選択します。
以上で「完了」を押せば、仮想マシンのインストールが始まり、仮想マシンを作成できます。
仮想マシンのインストール前にNICを追加したい場合
この場合には、図2の画面の中で、「インストールの前に設定をカスタマイズする(U)」にチェックを入れて、NICの追加を行います。もちろん、ここでNICを追加しなくても、仮想マシン作成後にもNICを追加することは可能です。 「インストールの前に設定をカスタマイズする(U)」にチェックを入れて「完了」を押すと、以下の画面がでます。以下の画面では、NICに限らず、ストレージやその他の追加設定を行うことができます。
上の画面の中で「ハードウェアを追加(D)」を押すと、以下の画面が出ます。そして仮想マシンにNICを追加する場合は、以下の画面ように「Network」をクリックします。
すると、上の画面のように、追加するNICが属する仮想ネットワークを選択できるので、適切に選択して「完了」を押します。上の画面の場合、新しく追加するNICは「default」に属します。「完了」を押すと、以下の画面に戻り、NICが追加されている事が分かります。以下の画面で「インストールの開始」を押すと、仮想マシンのインストールが始まります。
以上によって仮想マシンのインストール前にNICを追加することができます。
仮想マシン作成後にNICを追加したい場合
仮想マシン作成後にNICやストレージ、その他の設定を追加したい場合は、以下のように、仮想マシンマネージャーを開いた画面で各仮想マシン名上で右クリック、「開く」を選択して開きます。仮想マシン名をダブルクリックしても同じです。
次に、仮想マシンの画面が開いた状態で、以下のように仮想マシンマネージャーの「表示」→「詳細」をクリックします。
すると、図3と同じ画面が出るので、すでに説明した手順でNICを追加することができます。
以上で仮想マシンの作成は完了です。今回はubuntuの場合の仮想マシンの作成手順を載せましたが、vyattaについても基本的に手順は同様です。ただし、今回構築する仮想環境では各vyattaがNICを2つ持ち、それぞれのNICが別の仮想ネットワークに属する点がubuntuの場合とは異なります。 また、ubuntuインストール手順については、下記のサイトさんが分かりやすいかと思います。
Ubuntu freak ubuntuの基本的なインストールvyattaのインストール手順については、色々なサイトに載っているので省略します。
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