URL発行のみでビデオチャットやビデオ会議を開始できるオープンソース「Jitsi」

はじめに
URL1つを発行するだけでその他のアカウント登録等不要にビデオチャットや複数人でのビデオ会議をブラウザで開始できる「Jitsi」を実際にインストールして使ってみたのでその手順をまとめます。
Jitsiについて
Jitsiは、前述したようにURLだけ指定してそのURLにアクセスするだけでビデオチャットを開始できます。少し前まではWhereBy(旧appear.in)というオンラインチャットサービスが全く同じサービスを提供していましたが、執筆時点ではユーザーアカウントの登録が必須になっていました。 JitsiはWebRTCを使用しており、URLを知っているユーザーがブラウザからアクセスすればすぐにビデオチャットを開始できます。そしてJitsiはオープンソースで公開されており、サーバーにインストールして使用すれば簡単にサービスとして提供できます。この記事では実際にUbuntuにインストールして使うところまでをまとめます。 以下がJitsiの公式サイトです。
Jitsi Meet offers free, secure, flexible, open-source video conferencing. Start using Jitsi Meet today. Build and deploy secure videoconferencing solutions.
なお、以下がJitsiの公式リポジトリです。
Secure, Simple and Scalable Video Conferences that you use as a standalone app or embed in your web application.
前提と環境
今回はUbuntu 18.04にJitsiをインストールしました。Jitsiの動作にはNginxかApacheが必要となるので、これらのいずれかがインストールされていることが前提となります。
- OS : Ubuntu18.04
- NginxまたはApacheがインストール済であることを前提とする。
Jitsiをインストールする
Ubuntuの場合はapt
経由でインストールできとても簡単です。まず、root権限で以下を実行しJitsiのリポジトリを追加しておきます。
後はJitsiをapt
コマンドでインストールするだけです。
Jitsiのインストール処理の中で必要な設定をNginxかApacheの設定ファイルに追記してくれるため、前述したように、NginxかApacheを事前にインストールしておいてください。
インストール中にJitsiで使用するドメイン名かIPアドレスを以下のように確認されます。ここでは、試しにローカルのUbuntuマシンにインストールしているので、IPアドレスを入力しています。各自の独自ドメインを使用する場合はそれを入力してください。
続いてSSL証明書について以下のように確認されます。もしとりあえずテストでローカルで動かす場合などは、「Generate a new self-signed...」 を選択したまま「了解」で進めます。
取得済のSSL証明書やこれから取得する証明書を使用したい場合は、「I want to use my own certificate」を選択します。この場合、続けて証明書用のキーのパスを以下のように確認されます。
証明書のパスも確認されます。
以上でインストールが完了します。 なお、Let's Encryptを使った場合は上記ではうまくいかず少しだけ設定ファイルを修正する必要がありました。これについて後述します。 また、もし「 E: The method driver /usr/lib/apt/methods/https could not be found. 」というエラーが出た場合は、以下をインストールするよう公式ドキュメントに書かれています。
Jitsiにアクセスする
Jitsiのインストールが完了後、実際にJitsi用に指定したドメイン名かIPアドレスにブラウザからアクセスしてみると、以下のような画面が表示されると思います。表示されない場合はNginxが起動していることを確認してみてください。
後は適当なURLを入力するか、Jitsiが自動生成したURLのまま上記画面内の「Go」をクリックすると、ビデオ会議が開始されます。マイクとカメラの使用は許可してください。
他のビデオ会議サービスと同様に使えると思います。チャットもできます。パスワード保護機能について後述します。
プライバシー保護について警告が出る場合
自己証明書を作成した場合は、ブラウザからJitsiにアクセスすると「この接続ではプライバシーが保護されません」というような警告が表示されるかもしれません。この場合は「詳細設定」をクリックします。以下はChromeの場合です。
そして「192.168.33.10にアクセスする(安全ではありません)」をクリックします。なお、ここの192.168.33.10
というのは私がJitsi用に指定したIPアドレスなので、ここは各自が指定したドメイン名かIPアドレスになっているはずです。
アクセスするとJitsiのトップページが表示されると思います。
パスワード保護機能を使用する
Jitsiでは、ビデオ会議のパスワード保護機能も用意されています。URLだけでアクセスするできるようにせずにパスワード入力を求めることができます。この機能を有効化するには、まずビデオ会議開始し、以下のように右下にあるインフォメーションマークをクリックし、表示されたポップアップ内にある「Add password」をクリックします。
パスワードを入力できるようになるので入力してEnterを押します。以下ではパスワードとして「testpass」を入力しています。
パスワードが設定されたビデオ会議では、アクセスすると以下のようにパスワード入力を求められます。
Let's Encryptを使用する場合
Jitsiのインストール中にLet's Encryptの証明書とキーのパスを入力してインストールを進めたところ以下のようにエラーがでました。
とりあえず再度実行してみると以下のように表示されました。
上記エラーの後に何をしたかをまとめます。ただし、このエラーについては良く確認せずに解決できてしまったので、そもそもLet's Encryptとは無関係かもしれません。とりあえず実際に行った作業をメモしておきます。
Jitsiの設定ファイルを修正する
Jitsiは、Jitsiのインストール前にNginxかApacheがインストールされていれば、それら用の設定ファイルを自動で作成してくれます。Nginxの場合には、/etc/nginx/sites-available/
に、Jitsiのインストール中に指定したドメイン名、またはIPアドレスがファイル名になった設定ファイルが作成されます。
例えばJitsiのインストール中にexample.com
というドメイン名を指定した場合は、/etc/nginx/sites-available/example.com.conf
というファイルが作成されます。
そして中身が以下のようになっていると思います。
これを元に自分用に設定ファイルを作成すればLet's Encryptでも問題なく使用できます。
なお、私の場合はNginxの設定ファイルを/etc/nginx/sites-available
ではなく/etc/nginx/conf.d
に置いて管理しているので、ここでも/etc/nginx/conf.d
に作成します。
そして中身を以下のようにします。
上記を見て分かるとおり、ドメイン名を自分が使用するものに変更してLet's Encrypt用の設定を追加しただけになります。
後はNginxを再起動します。
また、Jitsiのサービスも以下で起動します。
これで無事にJitsiが起動すると思います。
まとめ
Jitsiのインストール手順と簡単な使い方をまとめました。URL1つでさっとビデオ会議を開始できるのはとても楽です。社内システムとして使っても便利かもしれません。 なお、Jitsiでのチャットルーム作成にユーザー認証をつけることも可能です。この手順は以下にまとめました。
URLを発行するだけでブラウザでビデオチャットを開始できるオープンソースのJitsiで、特定ユーザーのみが新しいチャットルームを作成できるよう設定を変更したのでその手順をまとめます。
2020/2/11 追記
JitsiのAPIを使用すると、ビデオチャットをを自分のサイト等外部サイトに埋め込んで表示することができます。これについて以下にまとめました。
Jitsiでは、APIが用意されておりこのAPIを使用することで自分のサイト等外部サイトの中にビデオチャットを埋め込むんで表示することができます。この記事ではその手順を簡単にまとめます。
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