Androidスマートフォンの画面をパソコン上にミラーリングして操作できるScrcpyの使い方
はじめに
Androidスマートフォンの画面をパソコン上にミラーリングして表示し、さらに操作もできるScrcpyというアプリをUbuntuにインストールして使ってみたのでその使い方をまとめます。なお、ScrcpyはWindows、macOSでも動作します。
Scrcpyについて
Scrcpyは、マルチプラットフォーム対応でWindows、macOS、Linuxいずれでも動作します。例えばUbuntuではapt
コマンドから簡単にインストールできます。以下が公式リポジトリです。
This application provides display and control of Android devices connected on USB (or over TCP/IP). It does not require any root access. It works on GNU/Linux, Windows and macOS.
Scrcpyの動作イメージは以下です。少々サイズが大きいですがGIFです。以下のGIFでは、解像度を少し落としていますが、Scrcpyは1920×1080の解像度まで対応しています。
Scrcpyの主な特徴は以下になります。
- USB経由もしくはTCP/IP経由でパソコン上にAndroidスマートフォンの画面を表示、操作できる
- キーボード入力も可能
- 低遅延(35ms ~ 70ms)
- Androidスマートフォン側がスリープしていてもパソコン上で表示、操作可能
- Androidスマートフォン側にはアプリのインストールは一切不要
- Androidスマートフォン側での管理者権限は不要
- Windows、macOS、Linuxで動作
前提と環境
この記事ではUbuntuにてScrcpyを使用しました。
- パソコンOS : Ubuntu18.04
- Android端末 : Oppo R15 Neo
事前準備
Scrcpyを使用するにあたって、Androidスマートフォン側で「USBデバッグ機能」を有効化しておく必要があります。USBデバッグ機能を有効化するには、まずはじめにAndroidの「開発者向けオプション」を有効化しておく必要があります。この有効化手順は以下の公式ドキュメントに記載されていますが、Androidスマートフォンで「設定」→「システム」→「端末情報」の中にある「Androidバージョン」(「ビルド番号」という表記の場合もある)を7回タップします。Androidスマートフォンの機種によっては、「設定」の中に「端末情報」がすでにあったり異なるので、とにかくAndroidのバージョンやビルド番号という項目を見つけます。
アプリ パフォーマンスのプロファイリングやデバッグに役立つシステム動作の設定を行う方法について説明します。
「開発者向けオプション」を有効化した後、あとは「開発者向けオプション」というような名前のメニューが「設定」内に表示されているため、そこから「USBデバッグ」を有効化します。この手順も上記公式ドキュメントに記載されています。
Scrcpyをインストールして起動する
ここではUbuntuにインストールします。WindowsやmacOSでのインストール方法は公式リポジトリをご参照ください。
Ubuntuの場合はapt
経由でインストール可能です。snap
を使用します。まずupdate
してインストールします。
$ sudo apt update
$ sudo snap install scrcpy
後はAndroidスマートフォンをパソコンにUSB接続した状態で、以下のコマンドでScrcpyを起動します。
$ scrcpy
起動すると、USB経由で接続しているAndroidスマートフォンの画面が以下のように表示されます。
もし起動した時に以下のようなエラーが出る場合は、
$ scrcpy
INFO: scrcpy 1.10
* daemon not running; starting now at tcp:5037
* daemon started successfully
adb: error: failed to get feature set: device unauthorized.
This adb server's $ADB_VENDOR_KEYS is not set
Try 'adb kill-server' if that seems wrong.
Otherwise check for a confirmation dialog on your device.
ERROR: "adb push" returned with value 1
同時にAndroidスマートフォン上でも以下のような画面が表示されていると思います。
上記画面で、「このコンピュータでのデバッグを常に許可する」にチェックを入れて「OK」し、改めてScrcpyを再起動すれば解決できます。なお、ここで表示されるメッセージ内容はスマートフォンの機種によっても多少異なるかもしれません。
まとめ
とても簡単にAndroidスマートフォンの画面をパソコン上にミラーリングでき、またキーボード入力などの操作も問題なく行えます。遅延も少ないです。Androidスマートフォンの画面上を録画したい、デバッグしたいなどの場合に便利だと思います。
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